働き方とキャリア

リモートワークできるって本当?中小IT企業で働く私のリアルな日々――成果主義と育児と、そして“自分を保つこと”のむずかしさ――

「リモートワークできるなんて、いいね!」と言われるけど

「リモートワークできる会社で働いてる」って言うと、
たいていの人に「いいな〜! 自由そう!」って言われます。

たしかに、通勤ラッシュもないし、満員電車で押しつぶされることもない。
朝、子どもを保育園に送ってから、家でコーヒーを淹れて仕事を始める。
パジャマのままでも仕事ができるし、
洗濯機を回しながらメールチェックだってできる。

でもね。
実際は、そんなに甘くないんです。

リモートワークって、
「出勤しなくていい=自由」ではなくて、
「出勤しない=成果でしか評価されない」働き方なんですよね。

画面の向こうで誰も見ていない分、
どれだけ頑張ってるかなんて伝わらない。
最終的に見られるのは、提出物やレポートだけ。
だから、サボってなくても「成果が出てない=やってない」と見られがち。

気づけば、オフィスにいた頃よりもずっと神経を使うようになりました。
Slackの緑のランプ(オンラインマーク)が消えてると、
「あれ、今この人どこにいるんだろ?」って思われないか、
変に気を遣って、ログインしたままトイレに行くことも(笑)。


外資系・中小企業というちょっと特殊な職場

私が働いているのは、社員30人ほどのIT系の中小企業。
ありがたいことに、外資系です。
融通が利くし、服装も自由。上司もフレンドリーで、
「結果さえ出せばOK」というスタイル。

でもその一方で、
「成果が出ない=存在感が薄れる」世界でもあります。

しかも、社員のほとんどが外国人。
日本人は私を含めて数人しかいません。
Slackは英語、中国語、日本語が入り乱れたマルチリンガル地獄(笑)。

会議も基本的に英語か中国語。
私も入社してから頑張って中国語を勉強して、
中上級レベルの試験に合格しました。

それでも――
会議でのスピード感にはついていけません。

みんな話すのが早すぎて、
一文理解してる間にもう次のトピックに進んでる。
正直、内容は半分も理解できない。

だから、私はこの会社の中で“上”に行くことは難しいだろうなと思っています。
いくら頑張っても、言葉の壁はすぐには超えられない。
その現実を受け入れながら、それでもできる範囲で
“自分にできる仕事”をコツコツ続けています。


優しい社長に支えられて

私が今の会社でなんとか続けられている一番の理由は、
社長の存在です。

今の社長は、以前私が別の会社で働いていたときの上司。
性格は穏やかで、人の話をちゃんと聞いてくれるタイプ。
たとえば、私が子どもの発熱で突然休むことになっても、
「大丈夫だよ。無理しないで」って、さらっと言ってくれる。

そして何よりありがたいのが、
時短勤務なのに、給料はフルタイムのまま据え置きということ。

普通なら、時短=給与カットが当たり前ですよね。
でも社長は、私の仕事の質を信頼してくれていて、
「できる範囲でいいから続けてほしい」と言ってくれました。

その言葉に、何度も救われました。
正直、メンタルが安定しない日もある。
双極性障害のせいにはしたくないけど、
ベッドから起き上がれない朝もあるんです。

そんな日でも、自由出勤の会社だからなんとかなっている。
「今日は午前休みにしよう」とか「午後から集中してやろう」とか、
自分の体調に合わせて働ける環境。
この柔軟さがなかったら、きっと今の私は続けられていません。


育児との両立、“完璧”じゃなくていい

1歳の子どもがいるので、
仕事と育児の両立は、毎日が綱渡りです。

朝は、寝ぼけたままの子どもに離乳食を食べさせ、
保育園の準備をして、自分も最低限の身支度をする。
保育園に送って、家に戻って、
やっとPCを立ち上げた頃にはすでに10時。

Zoomを開いた瞬間、Slackの通知がドバドバ届く。
そして、会議の途中で保育園から電話が鳴る。
「すみません、ちょっと熱があって……」
その瞬間、頭が真っ白。

“仕事モード”から“母親モード”に一瞬で切り替える。
予定していたタスクもミーティングもすべてストップ。
心の中では「またか……」って思いつつも、
子どもの顔を見ると、それどころじゃなくなる。

夜は寝かしつけの後に、
こっそりPCを開いてメールの返信。
時計を見ると23時を過ぎていて、
「明日もまた同じ1日が始まるのか」とため息をつく。

それでも、
「今日もなんとか乗り切れた」と思える日は少しだけ誇らしい。

完璧じゃなくていい。
“全部やる”よりも、“できる範囲でやる”ことが、
今の私にはいちばん大切なんだと思います。


経理だからこそ見える、会社のお金のリアル

私は経理として働いています。
だから、会社のお金の流れはすべて見えます。

正直に言うと――
うちの会社、いつ潰れてもおかしくない(笑)。

毎月の収支を見てると、
「今月はギリギリ黒字かも…いや、やっぱ赤字か」みたいな。
社長も経営にはかなり頭を悩ませています。

そういう現実を見てしまうと、
「転職したほうがいいのかな」って不安になります。
でも今の私の状況では、すぐに動けない。

1歳の子どもがいて、
まだ夜泣きもある。
体調も安定しない日がある。

毎日出勤できるような会社に転職するのは、
今の段階ではリスクが大きい。

だからこそ、私は今の環境に感謝しています。
たとえ先が不透明でも、
今の“自分が働けるペース”を守ることのほうが大事。

働くって、単にお金を稼ぐだけじゃなくて、
“自分を社会とつなぐ手段”でもあるから。


リモートワークの「自由」と「孤独」

リモートワークって、
自由である反面、孤独でもあります。

オフィスなら、ちょっとした雑談が息抜きになるけど、
在宅では話しかける相手がいない。
気づけば、今日一日誰とも会話してないこともある。

子どもが帰ってくるまで、
声を出すのは会議のときだけ。

そんな日が続くと、
自分の存在意義を見失いそうになるんです。

「この仕事、誰かに必要とされてるのかな」
「私、何のために頑張ってるんだろう」

でも、ふとSlackで
「いつもありがとう!助かってるよ」
って一言もらうだけで、
また明日も頑張ろうって思える。

リモートワークの世界では、
“ちょっとした言葉”が何倍も大きな意味を持ちます。


「今の自分を受け入れる」という選択

2年前の私なら、
「もっとキャリアを積みたい」
「もっと上を目指したい」って思っていました。

でも今は、
「できる範囲で続けること」が目標です。

双極性障害を抱えながら、
小さな子を育てて、
外資系の中小企業でリモート勤務を続けている。

それだけで、
もう十分頑張ってると思うようにしています。

もちろん、将来的には転職も考えています。
でもそれは、
メンタルも育児も少し落ち着いてから。

焦らず、
今のペースで一歩ずつ進めばいい。

人生はマラソンみたいなものだから。


おわりに:完璧じゃなくていい、“続ける力”がいちばん強い

「リモートで働けるなんて羨ましい」
「在宅なら子育ても楽そう」

そう言われるたびに、
心の中で「いや、そんなことないよ」とつぶやきます。

リモートでも、時短でも、
毎日バタバタして、時には泣きそうになる。
でも、そんな中でも
“今日もなんとかやりきった”と思える瞬間がある。

それが、きっと働く意味なんだと思うんです。

完璧じゃなくていい。
キャリアを一時的に止めてもいい。
“続ける力”こそが、
これからの時代にいちばん大切なスキルなのかもしれません。

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