はじめに
「会計事務所って安定してそう」「資格を取りながら働けていいな」
──私も最初、そう思っていました。
でも、実際に働いてみると、想像していた世界とはぜんぜん違ったんです。
新卒で入った会計事務所を、私は8か月で退職しました。
「合わなかった」
それが正直な理由です。
この記事では、私が会計事務所で感じた現実と、辞めてからどう変わったかをお話しします。
同じように「事務所で働こうかな」「今つらいけど続けるべき?」と悩んでいる人の参考になればうれしいです。
私が会計事務所に入った理由
学生の頃から「いつか税理士になりたい」と思っていました。
税理士になるにはまず、会計事務所で修業しながら勉強するのが王道。
「じゃあ、まずは現場に入ってみよう」と思い、
新卒で7人ほどの小さな税理士法人に就職しました。
女性スタッフが4名、税理士の男性が3名。
こぢんまりとしていて、落ち着いた雰囲気でした。
家から2駅で通勤ラクラク。
残業もほぼなし。
給料も額面25万円+賞与年3回(1回30万円ほど)。
「これなら普通にOLしながら税理士の勉強もできそう」
──そんな軽い気持ちで入社したんです。
1日の流れと仕事内容
朝9時半に出勤して、まずは掃除。
トイレ掃除や掃除機、机ふきなど、当番制でした。
そのあと、それぞれ任されている業務を黙々とこなしていきます。
私の主な仕事は記帳代行。
クライアントはきもの屋さん・不動産会社・病院の3社を担当していました。
仕事内容の内訳はこんな感じ👇
- 記帳代行:7割
- 申告書作成補助:1割
- 電話応対:1割
- 雑務(コピー、お茶出しなど):1割
繁忙期(2〜3月の確定申告)以外は残業もほとんどなく、平日は1〜2時間残業する程度。
ただ──
お茶出しがとにかく苦痛でした。
何回やっても緊張するし、会話も気を使う。
「事務職ってもっと淡々としてると思ってたのに…」
と、ここで少し理想と現実のギャップを感じ始めました。
静まり返った事務所と、質問できない空気
事務所はとにかく静か。
電話の音とキーボードの音しか聞こえません。
「質問したいけど、声が響く…」
「みんな忙しそうで話しかけづらい…」
そんな雰囲気の中、自分で調べて勉強するスタイルが求められていました。
たしかに、本棚には税務の本がずらっと並んでいて、自分で調べる環境は整っています。
でも、初心者にとっては難易度が高すぎる。
「いつまで考えてればいいんだろう」
「間違ってたらどうしよう」
そうやってモヤモヤしながら過ごす時間がどんどん増えていきました。
人間関係の難しさ
所長は穏やかで優しい人でした。
怒られることも少なく、話しかけやすいタイプ。
でも、一部の同僚とは少しギクシャクしていました。
「ライバル視されてる?」と感じることもありました。
職場の雰囲気自体は悪くないのに、
人間関係の距離感が妙にむずかしい。
そして何よりつらかったのは、比べられていると感じた時。
「あの子はもうここまでできてるのに」
──そんな空気が、静かな事務所の中で余計に重くのしかかってきました。
「合わない」と思った瞬間
入社して半年ほど経った頃、
だんだん「この職場、私には合わないかも」と思い始めました。
きっかけは、髪色と服装を注意されたこと。
当時の私はブルー系の髪色をしていて、
少し個性を出したかったんです。
でも士業の世界は想像以上にお堅い。
「税理士事務所なんだから、もう少し落ち着いた格好にしてね」と言われた時、
正直、「あ、ここは自由じゃないんだ」と感じました。
服装や髪型だけでなく、
会話のテンポや価値観も少しずつズレている気がして…。
そこから仕事に対するモチベーションも下がっていきました。
退職を決めた理由
ある時から、双極性障害の症状が強く出てしまい、
体調を崩して出勤できない日が増えました。
朝、どうしても体が動かない。
「行かなきゃ」と思うのに、涙が出る。
そんな日々が続き、
「もう無理だな」と思い、電話で退職を伝えました。
所長は優しく、「そうだよね、難しいよね」と言ってくれました。
責められることもなく、静かに終わった感じです。
退職後の気持ち
辞めた瞬間、スッキリしました。
「やっと解放された!」という気持ち。
正直、後悔はゼロでした。
会計事務所で得たもの
短い期間でしたが、
会計ソフトの使い方を学べたのは大きな財産です。
その経験があったからこそ、
今は企業の経理財務担当として働くことができています。
さらに、のちにFP2級を取得して、
仕事だけでなく、家計管理にも会計の知識を活かせるようになりました。
会計事務所に向いている人・向いていない人
実際に働いてみて感じた「向き・不向き」はハッキリしています👇
💡向いている人
- コツコツした作業が好きな人
- 税金・法律などに興味がある人
- 細かい確認が得意な人
- 勉強が好きな人
💭向いていない人
- 自由な服装や髪色で働きたい人
- 人と話す方が好きなタイプ
- リモートワークを望む人(基本は在宅不可)
- ルールに縛られるのが苦手な人
「辞める=悪いこと」じゃない
会計事務所を辞めた当時、
「せっかく入ったのにもったいない」
「根性がない」
──そんな声もありました。
でも今思うのは、
**「合わない場所にいる方が、よっぽどもったいない」**ということ。
たった8か月でも、
会計の基礎が身につき、次の仕事にも活かせている。
人生は「一度辞めたくらいで終わらない」んです。
同じように悩んでいる人へ
もし今、あなたが
「この仕事、なんか合わないな…」と感じているなら、
無理に続ける必要はないと思います。
会計事務所の仕事は確かに勉強になります。
知識も経験も得られます。
でも、心がすり減る環境なら、続けても意味がない。
「できるところまでやって、それでも無理なら転職」
──それでいいんです。
私自身、辞めたあとに別の道が開けました。
会計の知識は一生モノ。
場所が変わっても、学んだことは絶対ムダになりません。
まとめ
初めての社会人生活。
泣いた日もあったけど、いろんな意味で勉強になった8か月。
「会計事務所で働いてみたい」と思う人には、
リアルな現実を知ったうえでチャレンジしてほしいです。
そして、合わなかったら迷わず次へ。
それも立派な選択です。
