最近ニュースでよく聞く「給付付き税額控除(きゅうふつき・ぜいがくこうじょ)」という言葉。
なんだか難しそうですよね。でも実はこれ、「減税」と「現金のプレゼント」を合わせた仕組みなんです。
「お金持ちだけがトクする制度じゃないの?」と思うかもしれませんが、
むしろ、お金に余裕がない人を助けるための仕組み なんですよ。
💡まず「税額控除」ってなに?
税金の中には「所得税(しょとくぜい)」があります。
これは、働いたりお店をしたりして得たお金から払う税金です。
たとえば、
- 年間50万円の所得税を払う人がいたとします。
- もし「10万円の税額控除」があれば、
→ 50万円 − 10万円 = 40万円の支払い でOKになります。
つまり、「税額控除」は払う税金がそのまま減る制度。
だから「税金を軽くする=減税(げんぜい)」の一種なんです。
💴でも、それだけじゃ足りない人もいる…
問題は、そもそも税金をあまり払っていない人。
たとえば、収入が少なくて所得税が8万円しかない人の場合。
「10万円控除します!」と言われても、
引けるのは8万円までで、まだ2万円が余りますよね。
この「余った2万円」を、なんと**現金でプレゼント(給付)**してくれるのが
「給付付き税額控除」なんです!
🧮具体的にどうなるの?
控除額を10万円にしたときの例を見てみましょう。
| 人のタイプ | 所得税 | どうなる? | 結果 |
|---|---|---|---|
| 所得税50万円の人 | 10万円控除 | 税金が40万円に減る | 減税のみ |
| 所得税8万円の人 | 8万円控除+2万円給付 | 税金ゼロ+2万円もらえる | 減税+給付 |
| 非課税世帯(税金ゼロ) | 税金がない | 10万円を現金でもらえる | 給付のみ |
つまり、収入が少ないほど手厚いサポートが受けられる仕組みなんです。
すごく公平で、必要な人にきちんとお金が届くようにできています。
🌍海外ではどうなってるの?
実はこの制度、海外ではけっこう前から使われています。
🇺🇸アメリカの場合
アメリカでは「EITC(勤労所得税額控除)」という名前で使われています。
働く人のやる気を応援したり、子育て世帯を助けたりするのが目的です。
- 子どもが多いほど支援額がアップ
- 例えば年収440万円の夫婦+子ども2人なら、約150万円の支援が受けられます
- 収入が上がると、少しずつ支援が減っていく(公平な設計)
🇩🇪ドイツの場合
ドイツでは、子どもがいる家庭に「現金給付」か「減税」のどちらか得な方が選べます。
- 子ども1人につき年間50万円ほどの手当
- もしくは約170万円分の減税
- 18歳未満、または25歳未満の学生まで対象
こうやって世界では「働く人を支える仕組み」として活用されています。
🏛️日本でも導入の動きが!
最近の日本でも、この「給付付き税額控除」が話題です。
自民党総裁選では、複数の候補者が導入を検討していると発言。
中でも注目なのが、自民党の 高市早苗(たかいちさなえ)さん。
総裁就任後の記者会見で、「党内で議論を進める」と明言しました。
さらに、
- 立憲民主党の野田佳彦さんも「実現のチャンスが広がっている」と前向き。
- 公明党の斉藤代表も「昔から大きな議論だった」と賛成姿勢。
与党も野党も関心が高く、超党派で進めようという流れが出てきています。
🪙でも、課題もたくさんある…
いいことばかりに見えるこの制度ですが、実現するにはいくつかのハードルがあります。
① 所得・資産の把握が難しい
日本ではまだ、全国民の収入や資産を1つのシステムで把握できる仕組みが整っていません。
つまり「この人は本当に困っているのか?」を正確に判断するのがむずかしいんです。
もし、税金をあまり払っていないけど実は資産が何千万円ある人までお金をもらえるとしたら、
「ずるい!」と不満が出るかもしれません。
② 財源(お金の出どころ)が必要
給付金を配るには、もちろん国のお金(税金)が必要です。
「どこから出すの?」「ずっと続けられるの?」という疑問もあります。
一時的な政策で終わらせず、長く続けるための財源確保が重要です。
③ 制度設計に時間がかかる
控除額の設定、対象者の条件、給付の方法…
これらをすべて決めるには、数年単位の準備が必要だといわれています。
政府や自治体のシステムを作り変える必要もあるので、すぐに始められるわけではありません。
🔍立憲民主党の「先に給付」案も
立憲民主党の中では、ちょっとユニークな案も出ています。
それが、「先に現金を一律給付して、あとで所得に応じて課税で調整する」方式です。
つまり、最初にみんなに配って、
「所得の高い人」からは後で少しずつ税金で戻してもらう形。
スピード感のある支援として注目されていますが、
こちらも「公平にどうやって調整するのか?」という課題があります。
🧭これからのポイントまとめ
「給付付き税額控除」は、一言でいえば
👉 『がんばる人を支えながら、困っている人を守る制度』 です。
- 所得が高い人 → 税金が軽くなる(控除)
- 所得が低い人 → お金がもらえる(給付)
- 一律の10万円給付よりも、必要な人にピンポイントで届く
でも、
- 所得の把握
- 財源の確保
- 制度づくり
この3つをクリアしなければ、実現はむずかしいでしょう。
✨まとめ:より公平でやさしい社会を目指して
「給付付き税額控除」は、
これまでの「一律給付」よりもずっと公平で、未来の日本に合った仕組みです。
高齢化が進み、子育て世代の負担も増えている今、
「誰を、どんな方法で助けるか」 が問われています。
税金の使い方を工夫すれば、
「働く人も、子育てする人も、年金生活の人も、みんなが笑顔で暮らせる」社会に近づけるはずです。
