自民党総裁選では、複数の候補者が「給付付き税額控除」の導入を検討する意向を示しました。
この仕組みは、減税と現金給付を組み合わせる制度で、一律の減税や給付よりも、所得の低い世帯に恩恵が届きやすいのが特徴です。
例えば、負担軽減額が10万円とした場合のイメージは以下の通りです。
- 所得税が10万円の人 → 納税免除
- 所得税が5万円の人 → 納税免除+5万円の給付
- 非課税の人 → 10万円の給付
このように、納める税額が少ない人ほど給付が手厚くなる仕組みです。
欧米での導入例
海外でも同様の制度が広く採用されています。
- アメリカ:就労意欲の向上や子育て世帯支援を目的に導入。子どもの人数が多いほど控除額が増加。例えば年収約440万円の夫婦+子ども2人世帯では、約150万円の支援を受けられる仕組み。所得が増えると徐々に対象外となる。
- ドイツ:18歳未満の子どもや25歳未満の学生を養育する世帯が対象。子ども1人あたり年間約50万円の手当、または年間約170万円の減税のどちらか有利な方が適用される。
日本での動きと課題
国内では、高市早苗氏が導入検討を公約に掲げたほか、立憲民主党も参院選で提案。与野党間でも協議が進められており、関係閣僚も「引き継ぐ」と表明しています。
一方で、日本には所得や資産を網羅的に把握する制度がなく、公平性の担保が大きな課題。納税額が少なくても多額の資産を持つ人まで対象にすると不公平感が高まる恐れがあります。さらに、恒久的な財源確保や制度設計に数年単位の時間が必要と見られています。
👉 「給付付き税額控除」は、低・中所得者にとって有効な支援策となり得ますが、公平性や財源の問題をどう解決するかが今後の焦点です。